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【英語】知識は力なり~英文読解の武器としての「教養」

こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。今回は講師の大越先生にご寄稿いただきました。

これまで何度か取り上げてきた、大学受験の英語の問題を解くには教養が重要である、という内容を、別の視点から取り上げてくださっています。

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「不気味の谷現象」

先日のベネッセ(進研)の共通テスト模試で、「不気味の谷」現象についての読解問題が出題されました。

ロボットなどの見た目や振る舞いが人間に似てくるにつれて、通常は好感度が高まっていきます。しかし、この人間との類似度があるレベルに達すると、むしろ違和感・恐怖感・嫌悪感・薄気味悪さを感じる段階がやってくる、というのが「不気味の谷」現象です。

当然のことながら、課題文をきちんと読解できれば正答できるように問題は構成されていますが、受験生にとってはあまり馴染みのないテーマといえるでしょう。

しかしこの現象、TVのニュース番組に取り上げられたことなどもあり、受験生のほとんどが知らない、とまでは言えません。「聞いたことがある」程度であれば受験生の10~20%くらいが「知っている」テーマである、とも言えます。

とりあげられている内容についての知識があるか否かは、回答していくときの負荷を大きく左右します。テーマについての知識があれば、それがない受験生よりも少ない負荷で得点することができます。

今回の「不気味の谷」についての問題では、上記のWikipediaに掲載されているグラフがそのまま正解の選択肢になっているなど、この現象についての知識があればざっくり1/3程度の労力で全問正解できると思われます。

 

「知らないテーマ」に出会うことが多くなっている

課題文として取り上げられている内容について知っているか否かが得点を左右する、というのは不公平に見えます。

しかし、大学入試や英検の上位級など、ある程度より上のレベルの試験では、「誰もが知っているテーマ」または「誰も知らないテーマ」だけで問題を構成するのは難しく、こういうことが必然的に起こり得ます

以前の大学入試の共通試験(現在の共通テストの前身である共通一次試験・センター試験)では、このようにテーマについての知識の有無が得点に影響する可能性がある問題が出ることはまずありませんでした。

しかし、近年の大学入試全体の難化に伴い、共通テストでもこういう問題が出題されるようになってきています

たとえば2023年は、追試で「確証バイアス」「ゼンメルワイス反射」という認知心理学・社会心理学で扱われるテーマについての問題が出題されています。

こういった分野についての読解問題は、各大学が課す二次試験で(特にいわゆる上位校で)比較的よく出題されますが、受験生全体を見ると必ずしも「馴染みのある」テーマではありません。

 

英検でも同様の傾向

同様の傾向は英検でも見られます。

準2級プラスの新設以降、2級・準1級が難化する傾向にありますが、その中に長文読解問題のテーマの変化があります(特に準1級)。

たとえば準1級ではローマ帝国に関連する問題が定期的に出題されてきていますが、その内容がかなりマニアックなものになりつつあります。
ローマ人が都市建設に使用した「ローマ式コンクリート」や、皇帝としては比較的知名度の低いカリグラを取り上げた長文読解問題が出題されています。

 

目指すべきは「大学レベルの教養」

もとより大学入試は「大学教育を受けるのにふさわしい学力があるか」を測るものですし、英検準1級は「大学中級程度」というのが目安になっています。

したがって、そこで出てくる英文の内容も「大学レベル」となり、対応するには相応の知識が必要となるのは当然のことと言えるでしょう。

このレベルにチャレンジするのであれば、「大学レベル」の知識・教養を少しでも多くの分野について身につけることを避けては通れません「まだ知らないことについて貪欲に知ろうとしていく姿勢」が最終的な合否を左右する、と思っておきましょう。

スクール今西の上級者向けの授業では、このような読解テーマの背景説明にも力を入れ、受験に必要な教養の幅を自然に広げていくことを目標としています。ご興味のある方は、以下の関連記事や英語学院の紹介をぜひご覧ください。

 

at 2025/12/10 17:22:12