トップ  > Kazu's BLOG  > 【英語】「多読では辞書を使ってはダメ」は本当?

【英語】「多読では辞書を使ってはダメ」は本当?

こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。

このページにたどり着かれた方は「多読」に興味をお持ちの方が多いと思います。

辞書を引きながら難しいテキストをじっくり読む「精読」ではなく、辞書を引かずに簡単な本を大量に読むという「多読」。最近徐々に色々な教育機関で取り入れられつつあります。

そして、一般的に多読では多読3原則という原則が謳われ、「辞書は使わない」などの原則が主張されています。

そこで今回は、「多読で辞書を使うことの是非」に関する様々な意見を取り上げて説明し、それが妥当なのかどうか個人的な意見を述べてみようと思います。

画像:スクール今西の多読本の一部

1.辞書は絶対にダメという主張

『快読100万語ペーパーバックへの道』(酒井邦秀、ちくま学芸文庫、2002年)で発表された「多読3原則」では、多読は以下の3つの原則を守って行うべき、という主張がなされています。

多読3原則
その1 辞書を引かない
その2 わからない話はとばす
その3 難しかったら投げ出してすぐ次の本に移る

辞書を使わず、よくわからなかった部分はどんどん飛ばし読みをして、それで本全体が難しくてよくわからなくなったらその本は止めておいて次の本に進む、という原則です。

このように、「多読では辞書を使うべきではない」という主張は非常に一般的で、例えば「多読3原則とは」というウェブページには以下の記述があります。

「辞書を引いたりしていると、時間がかかって読書のリズムが壊れてしまいますね。楽しい読書の敵です。」

同様の記述は多読関係の記事に山ほどありますので割愛しますが、多読においては辞書を敵視する傾向が非常に強いです。

 

2.辞書の使用に関して厳しく言わない主張

上にあるように、オリジナルの「多読3原則」では辞書を使わないことが強調されていますが、批判もやはり多かったようです。一番多い批判としては、「意味をよく理解しないままななめ読みをする生徒が多い」ということでした。

そこで、『多聴多読マガジン2013年12月号』で新しい多読3原則が提唱されました。それは以下の3つです。

「多読3原則」(修正版)
1. 英語は英語のままで理解する
2. 7-9割の理解度で読む
3. つまらなければあとまわし

この原則では、「辞書を使うかどうか」という表面的な点ではなく、「英語を英語のままで理解」「7-9割の理解度で」など、自分の理解度に応じた本を読むことが強調されています。辞書はできれば使わない方がよいと解釈もできますが、あからさまに「辞書を使ってはいけない」とは主張していません

さらに進んで、多読においても辞書を使うべきという主張も見られます。

例えば『英語多読法』(古川昭夫、小学館101新書、2010年)には以下の記述があります。

「また、これから英語を学ぶ小学生や中学生には、基礎的な単語の意味を正しく把握していないこともあります。正しい意味を確認するには、辞書を引いた方がよいでしょう。①(注:「辞書は引かない」という原則)を文字通りに受け取って「辞書は絶対引くな」という単純な指導をしていると、生徒によっては、英文を読むときに意味が取れなくても気にならなくなってしまいます。それでは、英語力は伸びません。」

このように、オリジナルの多読3原則で「使ってはダメ」と言われていた辞書ですが、今では様々な考え方があるということがお判りいただけたかと思います。

 

3.結局辞書は使うべき?

以上のような様々な意見がありますが、個人的には辞書を使わず大量に読むことだけを強調することには弊害も多いと思っています。

まず、

多読3原則、特に「辞書を使わない」という原則は、辞書を使ってじっくり読書をすることしか習ってこなかった学習者へのショック療法的な意味もある

と感じています。

逆に、初めから辞書を使わずに読むように指導された生徒は、ほとんど理解ができていなくてもそれを気にせずに読み進めるような癖をつけてしまうことがあります。

例えば、研究者が参照するような専門的な本を多読したことになっている中学生の多読の記録を見たことがあるのですが、内容のレベルと中学生という年齢から言って、本当に内容を理解できたのかどうか、少し疑問に思いました。

また、個人的な外国語学習の経験(英語、ドイツ語、中国語)から言っても、「辞書を使わずに多読」した場合よりも、「適宜辞書を参照しながら多読」したときの方が語彙力などの進歩を強く実感しています。

これは一度意味を理解した単語が繰り返し出てくることで、単語の正確な意味をはっきり記憶できるからではないかと思います。意味の理解があいまいなままだと、結局間違った解釈で覚えてしまう可能性があります。(これは日本語における難単語でも同じですね。)

何事もそうですが、極端な主張というのはやはり極端な結果を産みがちです。

そこで、

・多読は適宜辞書を使いながら行う(ただし、頻繁に辞書を使用しなくてもよいレベルの本を選ぶ)
・精読の練習もする

というのが、受験英語的な精読の良いところと多読の良いところを組み合わせた、最強の勉強法ではないか、と個人的には思っています。

 

4.まとめ

以上を踏まえて、スクール今西での多読は以下のように指導しています。

スクール今西の多読の原則
1. 自分にとって非常に簡単と思える本を大量に読む。
2. 辞書は基本的にひかない(10ページに1回程度)
3. 分からないところは飛ばして読む。話の流れが分からなくなったら難しすぎるということなので、別の本に変える。
4. つまらないと感じたら遠慮なく止めて別の本に進む。
5. ひとまずの目標は20万語。最終的には100万語を目指す。

さらに、

多読だけではなく、精読も必ず行う

ということを重視しています。

この記事の個人的な主張をまとめると、

・多読でもある程度辞書を使った方がよい。ただ、辞書を使い過ぎにならないレベルの簡単な本を読む。
・多読だけではなく精読も行う

となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

今西一太ツイッターアカウント

 

at 2021/09/30 10:51:59