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【英語】「飽きたら別の科目」「終わったらご褒美」は本当にいい?効果的な勉強法とダメな勉強法

こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。

最近、面談でよりよい学習法をお勧めするために「学習方略」に関する論文を読んでいます。

「学習方略」とは簡単に言えば広い意味での勉強法のことです。どのような勉強法をすれば成果につながりやすいかを情報収集しているわけです。

今回は読んだ中でも特に役に立ったと思った論文、

木村治生 (2015) 「『学習方略』の獲得は社会階層の壁を越えられるのか―子供の成績を規定する要因についての考察―」ベネッセ総合教育研究所 小中学生の学びに関する調査報告書

を中心にその他の論文もいくつか参照しながら、学力と強い相関のある学習法とあまり相関のない学習法について情報共有したいと思います。

 

 

1.学習方略とは

導入でも述べたように、「学習方略」とは広い意味での勉強法の事です。

・繰り返し問題集を解く
・英単語を音読しながら覚える

のような狭い意味での勉強法だけでなく、

・勉強する前に計画を立てる
・勉強した後は自分にご褒美を与える
・自分の苦手な場所はどこかを分析する

なども含む広い概念です。

方略には様々な種類があります。以下、木村 (2015) をもとに、今回の記事で重要になる方略をいくつかまとめます。

(1) 意味理解方略:ほかの解き方はないか考える、〇付けをした後にどうしてそれが〇になるのか考え方を確かめる、など
(2) モニタリング方略:重要な部分はどこかを考えながら勉強する、自分がわかっていない箇所を確かめる、授業で取ったノートを振り返って復習する、など
(3) メリハリ方略:勉強する前にあらかじめ勉強量や時間を決めておく、遊ぶ時には遊んで勉強するときには勉強する、など
(4) 報酬方略:勉強が終わったらご褒美をもらう(自分にご褒美を与える)、よくできたら先生や家族に褒めてもらう
(5) 負担軽減方略:簡単な所から勉強する、今やっている勉強に飽きたら次の科目や別の内容に進む

以下、これらの方略のうち、学力(成績)と強い相関があった方略と弱い相関しかなかった方略を木村 (2015) を元に見ていこうと思います。

 

2.学力とあまり相関がない学習方略

学力(成績)と一番相関がなかった方略は、

負担軽減方略(簡単な所からやる、飽きたら次の科目に移る)

その次に相関がなかった方略は

報酬方略(終わったらご褒美をもらう、ほめてもらう)

だったということです。

また、木村 (2015) は勉強時間と学力の相関も見ていますが、勉強時間を増やすことも学力とは強い相関はない(多少の相関はある)ということでした。

塾に通ったり机に向かったりしていてもダラダラしていたら意味がない

というのは経験的にも納得できるところではないかと思います。

※ちなみに勉強時間と相関が強いのは親の学歴などの家族の文化資本だったということです。学歴が高い親ほど子供を塾に行かせたりして長時間勉強させる、ということ。

 

3.学力と正の相関がある方略

逆に学力と最も強い相関があったのは

意味理解方略(ほかの解き方はないか考える、〇を付けた後に考え方を確かめる)

および

モニタリング方略(重要な部分はどこかを考える、自分がわかっていないところはどこかを考える、授業で取ったノートを振り返って復習する

ということでした。(しかもこの2つの方略は親の学歴などと相関が低いため、家庭環境に関係なく学力に貢献している)

ご褒美飽きたらどうするかという外的な部分に注目した方略は効果が薄く、内容に注目して重視する方略の方が学力に強い相関がある、というのは予想通りでしょうか。

また、方略とはいいがたいかもしれませんが、

親が子供に進学を期待する

というのは学力とかなり強い相関がある、とも述べられています。

 

4.その他の論文による補足

別の研究(*1)でも、

勉強そのものの内容と分離した動機(ご褒美が欲しい、褒められたい)よりも、内容と関与した動機(やっていると楽しい、このことが将来に役に立つからやりたい、やりがいがある)の方がより良い具体的な学習方略に結び付きやすい

ということが述べられています。

*1 堀野緑・市川伸一 (1997) 「高校生の英語学習における学習動機と学習方略」 Japanese Journal of Educational Psychology 45, 140-147.

 

5.まとめ

以上の議論をまとめて具体的な指導に移すとしたら、まずは

・親(先生も?)が生徒の進学に対する期待を示すこと
・ご褒美や誉め言葉などで釣るのではなく、勉強している内容そのものに対する興味を育てること

が重要になってくると思います。

さらに、ある研究 (*2) によると、ある勉強法が大事だと思っていてもその勉強法に対する負担感の高さからなかなかそれを採用しない、という例が一定の層に多くみられるということです。

確かに、やるべき勉強法を指導した後も、(おそらくその勉強法が大変なので)自分の今までやってきた勉強法に固執し、結果うまくいかないという例はたまにあります。

そのため、

・意味理解方略やモニタリング方略を勧め、重要性を繰り返し伝え、やり方を具体的かつ丁寧に導いてあげる

事が重要になってくるのでは、と思いました。

より良い学習法指導ができるよう、これからも勉強を続けていこうと思います。

*2 佐藤純 (1998) 「学習方略の有効性の認知・コストの認知・好みが学習方略の使用に及ぼす影響」『教育心理学研究』46, 367- 376.

 

今西一太ツイッターアカウント

 

at 2021/10/28 11:19:09