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【英語】洋楽を聴くのはリスニング練習に役に立つ?

こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。

今回はタイトルの通り、洋楽(英語の歌詞で歌っている音楽)を聴くことがリスニング練習にどのぐらい役に立つのかについて書いてみようと思います。

「リスニングを鍛えたいのですが、洋楽を聴くのはどうでしょうか?」

という質問は比較的頻繁にされることがあります。これについて、リスニング学習の原則から見てどのぐらい有効なのか、どのように活用すればよいのかについて書いてみようと思います。

1.リスニング学習の原則

さて、まずはリスニング学習の大原則を復習しておきましょう。それは、

大量のインプットを行う

もう少し詳しく具体的に言うと、

9割ぐらいわかる、自分にとって「とても簡単」と言えるレベルの音声を、ものすごく長い時間聴く。理想的には「合計1000時間」(1日3時間、毎日欠かさず英語を聴いて、3年間ぐらい)と言われる。

という感じです。つまり、きちんと理解しながらものすごく長い時間聴く、というのが一番重要になってくるわけですね。

もう少し詳しく知りたい方は、以下のリンク先をぜひご覧ください。

 

2.洋楽を聴くのはリスニング学習の役に立つ?

さて、以上の原則をもとに洋楽を聴くことがリスニングにどれぐらい役に立つのか考えてみましょう。

まず、「非常に簡単と思えるもの」あるいは「ほぼ理解できる音声」という部分ですが、これは歌詞をきちんと見て理解している状態であればクリアできると思います。

歌詞を見ずに歌の内容がなんとなくわかっているだけ、という状態で聞いているだけではそのポイントがクリアできていませんので、ほとんど役に立つことはないでしょう。

次に、「大量に聴く」という部分です。洋楽を聴くという勉強法ではこの部分がネックになってくると思います。

まず、英語のネイティブスピーカーが普通にしゃべると、1分間にしゃべっている単語数は大体200-250語ぐらいと言われます。

そして、例えばかなりたくさん歌っているイメージの The Carpenters の Top of the World の単語数を計算してみると

264語 ÷ 2.6分 = 101語(1分間の語数)

と、1分間に喋っている(歌っている)語数が普通に話すときの半分ぐらいしかなく、かなり少ないことがわかります。

さらに、ロック寄りでもう少し歌が少なめの、例えば Bon Jovi の It's My Life を計算してみると、

282語 ÷ 4.2分 = 67語(1分間の語数)

のように、普通にしゃべる語数の3分の1近い数になってしまいました。

つまり、歌うときというのはそもそもしゃべるときよりも単語数が圧倒的に少ないすなわち歌を聴いていてもインプットできる量がかなり少ない、ということになります。

しかも、歌というのはたいていサビの部分に繰り返しがありますし、さらに一般的には同じ曲を繰り返し聞くことが多いでしょう。

例えば、Top of the world は述べ語数が 264語ありますが、これは the など繰り返し出てくる単語をすべて別の単語として計算した場合「延べ語数」です。繰り返し出てくる単語をまとめて1つと数える「異なり語数」だと、たった102語しかありません。It's My Life に至っては異なり語数は84語しかありません。つまり、テキスト内に出てくる単語のバリエーションが非常に少ないです。
同じことを例えば以下のCNNのニュース記事で行うと、

Why has Ukraine stepped up its strikes on occupied Crimea? | CNN

述べ語数 239語までのカウントで、異なり語数は154語となりました。歌詞に比べて同じぐらいの延べ語数でも単語の種類がずいぶん多いことがわかります。

つまり、洋楽だとただでさえ少ない分量の英語なのに、同じような語句ばかりずっと聞いていることになり、様々な語句を聴くという意味で大量の英語に触れることも難しいです。(大量のインプットをする意味は、慣れるというだけではなく、よく使う表現にいろいろ触れるという意味もあります)

 

3.まとめ

以上のことからいえるのは、

・洋楽を聴くのはリスニング練習として無意味ではない
・ただし、分量や内容のバリエーションが少ない

ということになると思います。ここから私の個人的なお勧めは、

・洋楽を聴くというリスニング学習は、気が向くならあくまで補助的なものとしてやったらよい。それをリスニング学習のメインにするのはやめた方がよい(分量や内容のバリエーションがあまりに足りない)。

ということになります。

音楽好きの人は、洋楽を聴く勉強の利点と欠点をうまく理解したうえで、上手に活用していってみてくださいね。

 

at 2023/09/15 11:46:40